人って自分の価値観を”世界の標準”だと無意識に思っているから、その基準を理解できない相手には適性がないと変換し、その相手に「〇〇に向いてないよ」と言うことがある。そういうやり取りをたまに見る。
「相性の不一致」を「相手の欠陥」へとすり替えることで、自分の正当性を保ちつつ、面倒な対話を打ち切る。
向いてないよと言う人としては、「これ以上私に関わらないでくれ」というサインでもあるだろう。
だが、「この人とは話ができないな」と心の中で強く思ったとしても、それを「あなたは向いていない」と口に出すことは、自分と異なる価値観の存在を否定する行為だ。
「(私と話すには)向いていない」と言うべきところを、主語を大きくして「(〇〇全般に)向いていない」と言う。
ここに、「自分の尺度こそが、そのジャンルの絶対的な基準である」という無意識の傲慢さが現れているように見える。
それはどうなんだろうねって、僕は思った。